東京BLOG

生命科学の研究者のブログ

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学振の内定もらいました

良かった。

今日学振の面接の審査結果の開示があり、DC1の採用内定をもらった。

例年は12月末には出るのに、今年は総選挙の影響で来年度予算の編成が遅くなり、
結果の開示が大幅に遅れていた。

その間に自分は思い立ってこのブログを立ち上げ、
学振の申請を経験して色々と思うところがあったので、
いくつか記事を投稿していた。
しかし、面接でやれることはやったと感じていたが、
結果待ちという中途半端な境遇では、
どういう立ち位置で記事を書けばいいのかが難しく、
一時学振関連の投稿を中断していた。

これで続きの投稿ができる。
特に面接に関しては詳しく書こうと思っている。
面接に使ったポスターも中身を変えて公開するつもりだ。

それにしても、面接免除と面接候補では掛かる心労が全く違う。
面接免除組は10月の時点で採用内定をもらって、
心底穏やかに過ごしていたに違いない。

一方面接組は、研究の合間にポスターの内容やデザインを練り、
面接の対策を練り、
面接の後も結果開示の時期が近付くと日々をどこかそわそわして過ごし、
しかも出ると思っていた日に結果が出ずに、
開示の延期によってさらに1ヶ月落ち着かない日々を過ごしていた。
これだけの思いをして採用されなかった時のことを考えると気が気ではなかった。

しかし、こんな愚痴も採用されなかった人にとっては贅沢だろう。
特別研究員の名に恥じぬような仕事をしようと思う。

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東京タワーとスカイツリー

先日とある用事で東京タワーの近くに行くことがあった。

その場に研究室の何人かが同行していたのだけど、
話題が東京タワーとスカイツリーの比較になった。

その場で一番年上だった教授は、
「やっぱり東京タワーの方がスカイツリーより風情があるよな」
と言う。

なるほど言われてみれば、
住宅地で唐突にそびえるスカイツリーよりも、
高層ビルの合間からたまに覗く赤い鉄塔の方がなんだか風情がある気がする。

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RIMG1915.jpg 




それに、青春を昭和に生きてきた教授には、
東京タワーの方に色々と思い出や思い入れがあるのだろう。

じゃあ割と新しい世代である自分は、と言うと・・・
特にスカイツリーに思い入れがあるわけではない。
スカイツリーができてすぐの頃は、
「高いねー」とか、歩いていてスカイツリーが見えると「あ、スカイツリーだ!」
と反応した時期もあった。
しかし、後にスカイツリーが都内のどこにいても良く見えることを知った。

例えば、池袋
RIMG0054.jpg 




例えば、荒川
RIMG0677.jpg


毎日のようにその姿を見ていると、有難みが全く無くなった。



しかし、東京人としては新名所を見るだけではなくて実際に登ってみなくてはいけない!
という思いで去年の夏だったか秋だったかにスカイツリーに登った。

写真を見てもらっても分かるが、
スカイツリーが立っている場所は、
東京都内でも高層ビルが連立しているような中心からは少し外れた所だ。
当然山手線の外側だし、スカイツリーから少しでも歩けばそこは閑静な住宅街になる。

オープンしてから何ヶ月か経っていたが、まだ休日に行くと凄まじく混んでいる。
展望デッキに行くチケットを買うのに整理券が必要なのだが、
昼に行くとすでに夕方の整理券だった。

ただそこは観光施設としてよくできていて、
近くに東京ソラマチという様々な飲食店だとかなんやらが入っているビルがあったり、
水族館があったりで、時間を潰す方法はいくらでもあった。
ソラマチも入ってみたい店がたくさんあった。どこも激混みだったが。
水族館はこの時は行けなかったので再度チャレンジしたい。


展望デッキについては、一回登ってみたい気持ちはあったが、
期待は全然していなかった。
東京タワーしかり高層ビルに登り慣れている変な自負があった。

しかし、実際に登ってみると完全に予想を裏切られた。
どこからでも見えるので見慣れてしまって、
見るだけではもう何とも思わなくなってしまったスカイツリー
だが一度その中に入ってみると、そこには全く違った景色が広がっていた。

高い!当たり前だけど、実際に中に入ってみるとすごく高い!
そして延々と続く東京の街が一望できる。
こうして見ると東京という街がいかに巨大な都市なのかということを実感する。 実感した。

展望デッキに行った時に写真も撮ったが、
写真だとあまり感動が伝わらないので、
まだ登ってない人は是非一度登ってみてほしい。
東京すげえって思うから。

なんか東京のステマみたいになってるけど、
僕は単純に東京に思い入れがあるんです。

ちなみに、スカイツリーのこんな写真も持ってたりする。
RIMG1869.jpg 


「なんだ、お前やっぱりスカイツリー好きなんじゃないか」
と思うかもしれないが、別にそんなに好きではない。


国立西洋美術館のすすめ

何年か前から美術館に行くのが好きになった。

それまでは絵画に対してほとんど興味は無かった。
学校での美術は別に嫌いではなかったが、
興味を持って取り組むということはしなかった。
高校の芸術の授業は音楽を選択した。

そんな僕が暇を見つけて美術館に足を運ぶようになったきっかけが、
国立西洋美術館だ。

最初に国立西洋美術館を訪れた理由は、
アクセスが良かったし、
自分の大学が国立美術館キャンパスメンバーズに入っていたので、
無料で常設展を見れるからだ。
暇だし無料だから一回行ってみるか。そんなノリだったと思う。

行ってみるとド素人の自分でも思いのほか楽しめたので、
その後たまに暇ができるとフラッと立ち寄る。
それからこれをきっかけに色々な東京の美術館に足を運ぶようになった。

今日はそんなきっかけを作ってくれた国立西洋美術館を少し紹介したい。



国立西洋美術館はJR上野駅の公園口から出て、
動物園方面に30秒ほど歩いた右手にある。
敷地に入るとそこが前庭になっていて、
何点かの彫刻が展示してある。

昔なんかのCMで有名になったロダンの彫刻「考える人」がある。
RIMG0066.jpg 


展示は企画展と常設展がある。
企画展は何の企画かによって全く趣向や個人にとっての価値が異なるので、
興味のあるものをやっていたら行ってみると良いと思う。

僕がお勧めしたいのは、常設展だ。
この常設展、前述のようにキャンパスメンバーズに入っている大学の学生なら、
学生証があれば無料で入れる。
しかもこの常設展、かなり充実している。
元々は松方コレクションという、20世紀初頭のお金持ちが収集したコレクションが元になっているらしい。
14世紀くらいから20世紀までの主にヨーロッパの絵画が年代順に見れる。

自分は芸術論を語れるようなプロではないので、
それぞれの絵の価値について語ることはしない。
芸術の楽しみ方は人それぞれだと思う。

これを読んでいる人で、以前の僕のように美術館に興味を持ってないという人でも、
もし時間があったら一回行って実物を見てみることをお勧めする。
名作は何も考えないで見ていても心に何か訴えかけてくるものだと思うし、
個人的には絵が描かれた当時の風景とか服装とか
人の表情とか見ているだけでも面白いと思う。
そして国立西洋美術館には行くに値する良作がそろっていると思う。

絵画の知識のある人向けに、
国立西洋美術館の常設展で見れる近現代の有名な画家の名前を列挙してみる。
ピカソ
ムンク
ゴーギャン
ゴッホ
モネ
ミレー
ルノワール
クールベ

近現代の誰もが知っているような画家だけでもこれだけの人が揃っている。
(もちろん必ずしも彼らの代表作が所蔵されいるわけではない。
むしろ国立西洋美術館では、 名前を聞いたことが無い画家の
作品に見ごたえがある作品が多いように個人的には思う。)
これらの画家に加えて近現代以前の絵画も多数展示されている。

以下個人的に印象に残っている作品を挙げていこうと思う。
画像はリンク先の国立西洋美術館のオフィシャルサイトで見ることができる。



マリー=ガブリエル・カペ「自画像」

このいたずらっぽい微笑みと、斜めから見下ろすような顔の角度。
たぶん〇〇〇な性格なんだろうなー。と考えるのが面白い。
個人的には勝ち気だけど人懐っこい子だったろうと思う。

話は変わるが、西洋画に出てくる女性は近現代以前でも
かなり肉付きが良い、今で言うぽっちゃりな女性が多いと絵を見てて感じる。
絵画のモデルになるような女性(貴族?)に限ったことかもしれないが、
きっと裕福な生活をしていたんだろうなと思う。
それとも当時はそれが美しいとされていたのだろうか?




ギュスターヴ・ドレ「ラ・シエスタ、スペインの思い出」

ラ・シエスタ(昼寝)、スペインの想い出と題されたこの作品
画像だと分からないが、実は横幅が2mはあろうかという大きな絵だ
この絵の前に立つとまず、
周辺の暗部と対比を成して光が差し込む中央の頭を掻いている少年と目が合う。
眠りから覚めてしまったんだろうか。「なに見てんだよ」と言った感じだろうか。
是非実物を見てほしい。本当に目が合うから。




ジョヴァンニ・セガンティーニ「羊の剪毛」

なすすべなく毛を刈られてしまっている羊が描かれている。
奥にはすでに毛を刈られた寒そうな羊と、
これから刈られるであろう3頭の羊がいて、
柵越しに仲間が刈られる様子を見つめている。
構図が面白い。
というか、刈られる様子を見つめている3頭の羊がかわいい。



ヨハン・ハインリヒ・フュースリ
「グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ」


これも実物は横幅が3mもある巨大な絵。
そして、おそらく国立西洋美術館で一番インパクトのある絵
オフィシャルサイトの説明によると、
好きな人に冷淡にあしらわれた青年テオドーレ(左)
が森を歩いていると、
同じく恋人に冷酷な仕打ちを受けて自殺したグイド・カヴァルカンティの亡霊(中央)が、
裸で逃げ惑うその恋人(右)を犬に襲わせている所に出くわした場面、らしい。
誰かの小説の一場面らしい。
何が怖いって、中央の馬の目。
「ギョロ」という言葉はこの馬のためにあると言っても過言ではない。
こんなのに出くわしたら、トラウマで20年引きこもるレベル。笑えない。






ヴィルヘルム・ハンマースホイ
「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」


国立西洋美術館で個人的に一番好きな絵。
何が好きかというと、雰囲気が好き。それだけ。
簡素な部屋の奥で妻がピアノを弾いていて、
部屋には左から光が差し込んでいる。
どこからか彼女が弾いてるメロディーが聞こえてくるようじゃありませんか?






以上個人的なお気に入りを挙げました。
国立西洋美術館のすすめでした。



学振申請書の書き方

学振申請書の書き方を解説したWebサイトはたくさんあるので、
ここではあまり細かいことには触れないことにする。

理想的な書き方や構成というのは存在しないのではないかと思う。
例えば、申請書の書き方について解説したこの2つのページ。両方とも審査員経験者だ。

慶應大学 吉村研究室 - 学振申請書の書き方
申請書と論文の違い Y日記


1つ目のページの筆者は申請書の構成について以下のように書いている。

‘(4) 今の申請書には非常に懇切に、覧の上のほうに書くべきことを明記してある。これに沿って書けばまず間違いない。この指導すら守れない申請書はほとんど見る気がしない。例えば最初のページの”現在までの研究状況”には 

1.これまでの研究の背景、問題点、解決方策、研究目的、研究方法、特色と独創的な点について当該分野の重要文献を挙げて記述すること。2.申請者のこれまでの研究経過及び得られた結果について、問題点を含め1で記載したことと関連づけて説明すること。

と書いてある。 

背景、問題点、解決方策、研究目的、研究方法、などなどと項目をつけてそのまま書いていったらよい。ここまで過保護にしなくてもよさそうなものだが、この形式で書いてもらったら読むほうは本当に読みやすく理解しやすいだろう。






一方、2つ目のページの筆者は以下のように書いている

学振特別研究員の申請書を書いている人が多いことと思う。この申請書を、論文と同じ構成で書いてはいけない。つまり、背景説明から始めて、レビューのあとに問題を提起し、それから材料と方法を書き、研究計画を書く、という構成で書いてはいけない。審査員として何度も多量の申請書を読んだ経験から、私はそう考えている。なぜか。申請書を読み進まなければ、肝心のアイデアや、研究計画の要点がわからないからである。

中略

2つの書類を思い浮かべてほしい。一方は、肝心のアイデアや、研究計画の要点が最初に書かれていて、そのあとで詳細な説明がある。他方は、背景説明・一般的なレビューのあとに、ようやく問題が提起され、そのあとに研究計画が記されている。どちらが読みやすいだろうか。

限られた時間の中で、申請書の内容の要点を理解したい審査員にとっては、前者のほうがありがたい。







1つ目のページの筆者は、背景、問題点、解決方法、…と章を立てて書くと読みやすいと言っている。それに対して、2つ目のページの筆者は、とにかく要点を最初に書くべきと言っている。

2者の主張は捉え方によっては必ずしも矛盾しないし、
どちらが正しくて、どちらが間違っているという話ではない。
僕が主張したいのは、審査員それぞれに審査のスタイルがあり、
どの審査員にも合う理想的な書き方というのは存在しないということだ。

このことを踏まえた上で、僕が思う申請書作成の要点を書いていく。
他のサイトに書いてあることと大体同じだと思う。


1.見た目を見やすくする
理由は以前の投稿-学振の申請書を書き始める前に知っておくべきこと-で書いた。
申請書が文字でぎっしり埋まっていたら、審査員は読む気を無くす可能性が高い。
内容はできる限り要点をまとめて最小限にするべきだ。文字は12pt (追記:複数の審査員経験者に話を聞いたところ、文字情報が少なすぎるのも良くないから文字は11ptと言っている人もいた)
図もできればスッキリしたものを使うべきだと思う。
なお、見やすいデザインに関しては下記のサイトが大変参考になる。

伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン

色文字や下線・太文字なども上手く使えば効果的だ。
上記のサイトを参考にして見た目の見やすさを追求すると良い。



2.内容をわかりやすくする
この理由も以前の投稿--学振の申請書を書き始める前に知っておくべきこと-で書いた。

その研究をしてる人にしか分からないような専門用語はなるべく使わない。
使う場合は必ず説明を入れるようにする。
その研究はなぜ行う価値があるのか、研究の成果が出るとどんな良いことがあるのか、
分野外の審査員にもわかるように書くべきだ。
これは実際に分野外の知り合い複数人に見てもらって感想をもらうと良いと思う。



書いてみると至極当たり前のことだが、絶対に抑えるべき点はこの2つだと思う。
研究の内容については、国の税金を投入するに値する優れた物であるに越したことはない。
しかし、いくら学振に通りたいからと言っても、実際には行わないファンタジーを申請書に書くべきではないので、
指導教官とよく相談して申請書に書く研究テーマを決めてほしい。

続きを読む »

学振の採用率が高い研究室とは

学振の採用率が異様に高いラボというのは存在する。

そういう周りのラボを見ていて感じる傾向は、大きくまとめると下記の2つだ。

1.その世界では誰もが知ってるような有名ラボ
2.学振申請前に学生に論文を書かせているラボ

1に関しては「有名」というのも曖昧な定義だし、
なぜそこの採用率が高いかの理由は色々な要素が絡んでいるだろうから、
一概にこういう理由で高いだろうということは言えない。

以前の投稿で書いたように、審査員は分かりやすさを申請書に求めるので、
一流の業績を上げ続ける有名ラボの所属なら、
「ここの研究室ならきっといい仕事をするだろう」
と将来性や研究計画に高めの点数がつきやすいのかもしれない。
もちろん一流のラボでは研究テーマもそれ自体で価値のあるものが多いだろう。

また、学振の採用者をコンスタントに出しているラボは、
通りやすい申請書の書き方やそのアーカイブが受け継がれているので、
情報不足で間違った申請書の書き方をするということが無いのかもしれない。

2に関しては、学生が学振に通るためにラボとして対策をしてくれているということである。
僕の周りの学振に通らなかった人の話を聞いていると、
「研究計画や将来性の点は高かったけど、業績の点が低くて・・・」
という声をよく聞く。(不採用者は自分の得点が開示される)

日本学術振興会のWebサイトでは、
DC1やDC2に関しては業績よりも将来性や研究計画を重視して審査すると書いてある。
実際にPDの審査と比べてDCの審査は業績の比重を落としているのだろう。

しかし、業績は絶対に無いよりもあった方が良い。
業績があれば、それは間違いなく点数に反映されるし、
6人の審査員がそれぞれ1点ずつ多く点数を付けたら、
それだけ確実にその申請者の順位は上がる。

2であげた学生に論文を書かせるラボでは、
M2の5月くらいまでに学生が1stオーサーの論文を書かせる。
もちろんその時期に出せる論文のクオリティーなんてたかが知れているが、
それでも業績欄に1stの論文があれば、審査員はその分業績の点数を高くつけるだろう。
たぶん審査員はジャーナルのインパクトファクターなんていちいち調べない。

学振のためにそこまでする必要があるのか?
というのは意見の分かれるところだと思う。
それにM1の間にどれだけポジティブデータが得られるかにもよると思う。
個人的にはデータからストーリーを構築して論文にするという作業を早めに経験しておくのは良いことだと思う。
それに学振が取れるかどうかというのが、そもそも博士に進むための前提条件の学生もいるので、
そのためにできることをやっておくのは当然のことだと思う。

しかし、学振に通るというのは研究する上での最終目標にはなり得ない。
しかも学振に通るというのは必ずしも研究者として優秀ということを意味しない。
「学振に通る」という目的のためにどれだけの労力を割くかは、
自分の最終目標やラボの状況を見て各自が決めることだろう。

業績があった方が良いと言っても、もちろん心で思っているだけでは論文は書けない。
よほど親切なラボでない限り、
ラボの方から「学振に通るための対策」はしてくれないので、
これから研究の道に進もうと考えていて、
どうしても学振を取りたいと考えている学部生がいたら、
「学振の申請までに論文を書きたい」という意思を指導教官に告げて相談してみよう。

東京BLOG学振関連記事のまとめ


学振の申請書を書き始める前に知っておくべきこと

申請書作製の基本は、相手(=採用する側)が何を求めているかを知り、
それに即して書くことだと思う。
理想的な書き方というのは存在しない。
目的に即していればどんな書き方でも良いのではないかと思う。

学振の特別研究員の場合、採用者は日本学術振興会だ。
しかし、実際に審査をするのは日本学術振興会と直接的には関係の無い大学の教員である。
各申請者は分科・細目に従って、書面審査セットと呼ばれるカテゴリーに振り分けられ、
それぞれのカテゴリーに6名の審査員が就く。

つまり、一人の審査員は、自分の書面審査セットのカテゴリーに振り分けられたすべての申請者の審査をしなくてはならない。
その数はカテゴリーによるが、審査員一人当たり40~50人分の審査をするらしい。

前述の通り、審査員は普通の大学の教員(教授・准教授・講師…)である。
当たり前のことだが、大学の教員には日常的にやらなくてはいけない業務がある。
自分のラボの学生の指導、論文作製、講義、ラボの雑用、自分で実験をしている人もいるだろう。
これらの業務の合間を縫って学振の審査をする。

学振の申請書はA4・10ページくらいから成る。
真面目に熟読すると20分くらいはかかるだろう。
仮に審査員が一人の申請者に20分かけたとしよう。
すると50人見終わるのに約17時間かかる。

17時間?やってられない。

たぶん一人の申請者に20分かける審査員はいないだろう。
長くて10分以内で済ませたいとは誰もが思うだろう。
最初の数行を読んで読む価値が無いと判断したら、
全部を読まない審査員だっているかもしれない。
申請者にしてみれば人生を懸けている場合もあるのに、
そんなの冗談じゃないと思うだろう。
しかし、審査員の立場に立ってみれば、そうしたくなる気持ちも分かる。

学振の審査は面倒なのだ

このことをまず何よりも頭に入れておくべきだと思う。

それから、審査員は自分の分野とは関係ない人だと思って書いた方が良い
もちろん、工学とか医歯薬学だとか大きなくくりで同じ分野ではある。
しかし、例えばDC1の医歯薬の書面審査セットを見てみよう。
薬学系のセットで化学系薬学と物理系薬学が一緒になっている。
化学系は有機合成等のラボから多く出るだろう。
物理系はX線結晶構造解析等のラボから出る。
これらが一緒のカテゴリーとして同じ人に審査される。
大学の教員だって人間だ。
自分の専門外の分野まで学振の審査のために勉強する時間など無いはず。
研究人口の多い分野なら、6人中1人か2人は深く内容を理解してくれる審査員がいるかもしれない。
しかし、そうでないなら、まず6人の審査員は自分の研究について予備知識はほとんど無いと考えた方が良いだろう。

審査員は申請者の研究について予備知識はほとんどない

これらのことを踏まえていれば、
どのように申請書を書いたら良いか自ずと見えてくるだろう。
続く

東京BLOG学振関連記事のまとめ


学振とは何なのか

「学振」とは「日本学術振興会」の略であり、
このブログにおいては特に「日本学術振興会が募集する特別研究員」のことを指して使う。

詳細は省くが、要するに博士課程の学生、またはポスドクを国の機関が雇って給与を払い、研究を推進させる制度である。
博士課程においては実質的に学生を援助する制度であると言っても過言ではない。

「研究者」になるためには、ほとんどの場合において博士課程を修了して博士号を取ることが必要である。
そうやって長い学生の期間を経た博士が国の科学を発展させていくのだが、
学生というのは学費を払って学ぶ立場であって、基本的に給料はない。
学部や修士で就職した同期が出世して家庭を持ち始める中、
博士は30歳近くまで無給で研究を続けなくてはならない。
これは国の科学を担っていく者の処遇としてあんまりだ。
学振が始まった経緯はたぶんそんな所だろうと思う。たぶん。

学振に採用されると、博士学生の場合月20万の給料がもらえる。
奨学金と違って返済する必要はない。
しかも学振に採用されたという事実はその後のステータスになったりする。
学振に採用されないと、奨学金や仕送りでやりくりしなくてはならない。
無論ステータスもない。
これはまさに天と地の差ではないか。
そういったわけで、博士に進もうとする学生は、学振が喉から手が出るほど欲しい。

最近始まった学振と似たような制度として、
博士課程教育リーディングプログラム」というのもある。
こちらは大学や研究科が限られるが、
学振とほぼ同程度の援助が受けられるプログラムもある。
希望する大学や研究科でプログラムが走っているか確認してみてほしい。


学振の最終的な採用率は、年によって違うが大体20%から30%の間である。
申請者は6名の審査員によって

1.研究業績
2.申請書類から推量される研究者としての能力,将来性
3.研究計画

上記の3つの項目を5点満点で評価される。
合計点が高い順に上位約20%くらいが面接免除で採用され、
20%から30%の間の人が面接候補として面接を受ける。
数字は年によって微妙に変わる。2012年は上記のような感じだった。

採用するのは国の機関だし、さぞかし公平な審査と採用が行われるのだろうと思う人もいるかもしれない。
しかし、僕がこれまで見てきた学振に採用された人・されなかった人を考えると、
絶対に学振採用≠研究能力だと思う。
これはおそらく審査員不足に起因するのが大きいと考えている。
一人の申請者に掛けられる時間が少なく、正当な評価がされていないんじゃないかと思う。
現状でもし自分が審査員になって同じ状況に置かれたらと考えると審査員に同情もできるが、
これは日本学術振興会が改善すべき点だと思う。

要するに、「通りやすい申請書」が書ければ良く、それは必ずしも研究能力とは関係ない。
では「通りやすい申請書」とは何なのかということについて、次回以降触れたい。

東京BLOG学振関連記事のまとめ

このブログについて

思い立ってブログを開設してみた。

ブログを建てようと思った理由はいくつかあって、
ひとつは学振の特別研究員の申請で面接に進むというある意味貴重な体験をしたので、
その経験をシェアしようと思ったこと。
実はまだ面接の結果は出てないのだけど、通ってるにしろ通ってないにしろ、
何回かに分けて自分の経験を投稿していこうと思う。

もうひとつは、情報を発信できる場がほしかったこと。
20台も半ばになり、大学院博士課程に進み、
自分なりに社会における自分の立場を考える機会が増えたように思う。
立場というのは、「研究者の一人として」だったり、「社会人の一人として」だったり、色々だ。
このブログをどういう風に使っていくかはまだ探り探りだし、
実際どの程度更新できるかは全く未知数だけど、
学振や研究のこと以外にも自分の考えたことを発信していけたら良いと思う。

さしあたり、これまで読んだ本のレビューとか、英語の勉強の仕方とかは、
ちょくちょく投稿していきたいと思っている。

少しずつ内容を充実させていきます。よろしく。

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あぴと

Author: あぴと
生命科学の研究者。ポスドク。東京という街が好きです。
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生命科学、基礎医学、進化生物学、英語、読書、美術、音楽

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