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生命科学の研究者のブログ

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[小説] 「かわいそうだね?」 綿矢りさ

小難しいことやリスクを考えずに欲望のままに生きれるのなら、それに越したことは無いと思う。実際は社会のルールやマナーを一々考えなくてはいけないので、なかなかそんな生き方はできない。それでも比較的自分の欲求に忠実生きている人を見ると、羨ましく思うことがある。この小説の主人公も、小難しいことを一々考慮して生真面目に生きているタイプだ。その甲斐あってそれなりの社会的地位と安定した収入を確保できてはいる。しかし、それ以外の点では真面目さ故にどこかで損をしてしまう。この小説では、生真面目に生きる主人公の女性の苦悩を、自分の欲求に忠実に生きたいように生きるもう一人の女性と対比させるという形でありありと描いている。

綿矢りさの作品を読むのは「蹴りたい背中」以来だった。おそらく「蹴りたい背中」から作品のスタイルとしては変わっていないのだろうけど、より作品が味わい深くなっているように感じた。主人公の生真面目な生き方に僕自身が共感できたというせいもあるかもしれない。ものすごく日常的な題材を読者が楽しめる形で当然のごとく描くことができる稀有な作家だと思う。

表題作ともう一遍の短編が収録されている。もう一遍の方も楽しく読めた。綿矢りさの小説は他のも読んでみたい。

かわいそうだね? (文春文庫)かわいそうだね? (文春文庫)
(2013/12/04)
綿矢 りさ

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STAP騒動の行く末(時系列まとめあり)

前回の投稿で若山教授のインタビューの和訳を投稿してから大分時間が経っているが、この間にSTAP細胞に対して持っていた期待はほぼ消失し、大きな失望へと変わった。

とりあえず、これまでの経緯を時系列にそってまとめてみようと思う。



1月29日夜
Natureでの2本の論文(Article, Letter)公開に合わせ、理研が大々的にプレスリリースを行う。国内外のメディアがこぞって報道する。成果は驚きと称賛をもって迎えられ、関係者や分野の著名人もソーシャルメディアを通して小保方氏に称賛を送る。

科学とは関係ない小保方氏の人柄に焦点を当てた報道が過熱する。


2月5日
Pubpeer内のコメントでArticleFig.1iにおける不適切な処理が発見される。


2月7日
京大の山中教授が報道ステーションに出演し、STAP細胞とiPS細胞比較報道の誤りを説明する。


2月10日頃
当初からSTAPに関する記事をブログに投稿していたカリフォルニア大学デイヴィス校の幹細胞生物学者Dr. KnoepflerがSTAP実験追試の報告サイトを立ち上げる。次々と再現失敗の報告が投稿される。


2月13日頃
2011年に発表された小保方氏が筆頭著者の論文で、画像の使い回しが見つかる。
Letterの二つの異なる実験の画像にある胎盤の類似が指摘される。
これらの疑惑が世界変動展望氏やJuuichiJigen氏によってまとめられ、急速に拡散し、疑惑が広く知られるようになる。

理研・Natureがそれぞれ疑惑の指摘を受けて調査を開始する。


2月17日
Nature newsの記者独自の取材により、世界の10つの有名研究室で再現が取れないこと、共著者である若山教授も現在は再現ができないことが明らかになる

この頃からArticleやLetterの図における不自然な点が次々と報告される。

疑念が高まるのを見かねてか、理研が海外メディアに対して詳細なプロトコールを公開することを明言する。


2月26日
ArticleのMethodに剽窃(コピペ)が見つかる


2月27日
Dr. Knoepflerが若山教授へのインタビューを掲載する。


3月3日
分子生物学会がSTAP論文に対して声明を発表する。


3月5日
理研が突如詳細版の手順を発表する。そこでSTAP-SCにはTCR再構成が無かったという論文の主張と矛盾するような事実が明らかになる

STAP細胞の作製が論文発表後初めて小保方氏らによって再現されたと理研が発表

理研内部の人物であると自称するkaho氏がSTAP細胞の非実在についてと題する一連の投稿を始める。


3月9日
JuuichiJigen氏により、Articleに小保方氏の博士論文からの画像使い回しが発覚する。このデータはSTAP細胞の多能性を示す重要なデータであり、主張の根幹が疑われ始める。この時点でSTAPの存在を信じる人は少数派になる。

以後小保方氏の博士論文中に剽窃や画像盗用が次々と見つかる。


3月10日
若山教授がデータに確信を持てなくなったとして、著者らに論文撤回を呼びかける。同時にSTAP-SCの検証を第3者研究機関に委託することを発表。
kaho氏のSTAP細胞の非実在について#5で、STAP細胞とES細胞がほぼ同一の細胞である可能性(STAP細胞はES細胞のコンタミネーションの結果である可能性)が指摘される。


3月11日
理研がSTAP論文の取り下げを視野に入れて検討していることを発表する。
共著者である理研の笹井氏が上原賞の授賞式に出席。


3月13日
理研内のSTAP論文共著者全員(小保方氏含め)が論文取り下げに同意したとの報道。
ハーバード大のバカンティ教授は取り下げに反対。


3月14日
WSJが小保方氏から「(次々と剽窃・盗用が見つかっている)博士論文は下書き」と主張するメールを受け取ったと報じる。

理研がSTAP論文疑惑調査の中間発表を4時間に渡り敢行毎日:一問一答)。悪意のある捏造だったかの決定は先送り。竹市センター長「小保方氏は未熟な研究者」


3月15日頃から
小保方氏の博論の査読委員だった早稲田の教授が指導した他の博士号取得者の博論から次々とコピペ・盗用が見つかる。
小保方氏が早稲田の教員に博士論文の撤回を申し出たとの報道。


3月18日
理研が再現実験に3か月、まとめに1年かかるとの見通しを発表。
週刊誌によるゴシップ報道が過熱。


3月21日
ハーバード大のバカンティグループが、論文とは異なる独自のプロトコールを発表。クレジットも無く、たったの4ページで詳細とは決して言えない内容に批判が殺到。

←今ここ!!


こうやってまとめてみると、まさに激動の1か月半だった言える。話題には事欠かなかったが、最終的に失望でもって事態が収束に向かっているのは、大変残念に感じる。

これだけSTAPが注目を浴びた理由は簡単だ。それが本当なら世紀の大発見だったから。iPSの技術を用いてすでに再生医療の分野は発展してきているが、STAPの技術が確立されるなら再生医療の発展がより強固なものになるように思われたから。これらのことは僕が論文発表直後に書いた記事にも書かれている。どれだけ今回の発見に期待していたか、そしてどれだけ踊らされていたかの参考になると思うのでこれらの記事も残しておきたい。下に関連投稿としてリンクを貼るので興味のある方は飛んでみると良い。

後になって考えてみると、このような手放しで科学の発見を称賛するのは研究者としては失格なのだが、このようなこともあるのだなと肝に銘じて今後は気を付けるようにしたい。発表直後に著名な研究者も含めて発見を称賛していた根拠はちゃんとあり、一つは論文のFigureを見ると主張がちゃんと証明されているように見えること。(今になって見ると怪しい点が結構ある。当時気づけなかったことを自分に戒めておきたい。)もう一つは、共著者に一流の研究者が名を連ねていたこと。笹井氏は上原賞を受賞するほどその実績が広く認められているし、若山教授も同様だ。僕は笹井氏の講演を聞いたことは無いのだが、若山教授は一度講演を拝聴したことがあり、その時の印象からはとてもデータを捏造するような人には思えなかった。そういうこともあって、僕はこの発見を本当なんだろうと信頼していたし、多くの同業者もそうだったろう。

論文内における不自然な画像が明らかになっていく過程でも、この発見が持つ意義を重く見て信じたい気持ちがあった。それが日が経つにつれ、追試失敗の報告が増えて理研のプレスリリースは嘘っぱちだったことが明らかになり、博論からの画像転用が明らかになった時点で期待の気持ちは失望へと変わった。

極めつけはkaho氏によるChIP-seq・inputの解析データを目にしたことだ(STAP細胞の非実在について#5)。もちろん現段階ではこれはネット上の匿名の投稿に過ぎないし、その主張の正しさを自ら確かめる能力は自分には無い。しかし、若山教授がキメラマウス作製に用いた細胞がSTAPではなくてコンタミしたES細胞だったと仮定すると様々な疑問点が説明できる。

まだ調査の結果が出ていないし、断言することはできない。しかし、これまで明らかになった数多くの事実を考慮して、現段階で"僕が"考える尤もらしい騒動のストーリーとしては、論文のデータの多くは小保方氏の未熟さに起因する勘違いか、もしくは故意の捏造であり、現状のプロトコールで酸処理された細胞には多能性も全能性も無い、というところだろう。

何故こんなことになってしまったのだろうか。この発見が世紀の大発見として世間を騒がすことは容易に想像がついただろうに、論文の共著者たちは都合良く出てくるデータに疑念を持つことは無かったのだろうか。

仮にこの騒動が彼女の捏造により引き起こされたとして、彼女は一体何を求めていたのだろうか。捏造をすれば他のグループで再現が取れずに問題になることは誰でも分かることだ。偽りの成果によってどれだけ多くの人々が期待をし、どれだけ多くの研究者のリソースが無駄に割かれるかを彼女は分かっていたのだろうか。物事が確定していない現時点でこういうことは書くべきではないのかもしれない。


この騒動がもたらしたものとして注目すべきこともある。理研は今回のプレスリリースで何を思ったか研究とは関係ない彼女の個性を全面的に押し出す広告戦略を取った。その戦略は良くも悪くも成功し、STAPは国民的関心となった。これは果たして科学の成果を発表するプレスリリースとして適切だったのかという議論が巻き起こっている。科学と一般市民をつなぐ科学コミュニケーションはどうあるべきか、今後も議論されていくだろう。

また、インターネットを通じた情報共有が今回の騒動に大きな役割を果たした。Dr. Knoepflerのブログを始めとして、pubpeerや2ch等で当初から積極的にデータが議論されており、不正が見つかればtwitterやFacebookを介して全世界的に一気に拡散した。インターネットが無かったら、STAPを再現するために多くの研究者の貴重なリソースが莫大に割かれていたところだろう。科学コミュニティも新時代に入ったと感じる。



差し当たり現状のまとめと私見を記した。続報があればまた記事にしようと思う。


関連投稿
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[宣言] 英検一級を目指します

突然だが、来年度中に英検一級を取得したいと思う

理由は、これまでコツコツとやってきた英語力を何かしらの形に残したいから。それに資格は持っていて損をすることは無い。

そして、ブログで宣言することによって、自分を勉強せざるを得ない状況に追い込む目的もある。合否や成績も公開したい。勉強の様子等もできるなら記事にしたい。もっとも、勉強は大体において地味なので面白い記事が書けるかは分からないが。

英検は一年のうち、夏・秋・冬と3回実施される。今回は合格するまで受験しようと思う。

一昨年くらいに受けた時は、課題は語彙とライティングだった。英検一級になると、語彙の範囲がものすごく広く要求される。そうなると勉強の費用対効果が落ちてくる。もちろん語彙対策もするが、ポイントとなるのはライティングだろう。参考書でも一冊買おうかな。

二次試験の面接対策は・・・一次試験に受かったら考えるか。

TOEICやTOEFLは受けたことが無いので、それらも可能ならどこかで受けてみようと思う。

夏の英検の一次試験は、6月7日・8日だ。乞うご期待。

研究室内の距離感の話

学部4年の4月から研究室に配属されて、研究を始めた。

現在博士2年で4月から3年なので、研究を始めてから5年の月日が経とうとしている。

長くやっていると、色々な物事にたいして丁度良い程度というものが分かってくる。というより、自分にとって丁度良い程度に物事が落ち着いてくる。何のことかというと、例えば朝起きて大学に行く時間とか、一日の仕事量とか、実験の組み方とか、そういうものが持続可能な丁度良い程度に一定化してくるということだ。

研究室での人付き合いも例外ではない。

自分の身分は学生だが、もはや研究が仕事のようなものなので、言うなれば研究室は職場だ。そこは真面目に研究に取り組んで科学を推し進めることを最終的な目的とする場だ。当然研究室の雰囲気や環境は目的を遂行する上で重要となる。

研究を始めた当初は特になにも考えずに思うままに人と接していたのだが、学年も上になって責任が生じてくると、研究室内の雰囲気や環境にも気を使うようになってくる。

当たり前のことかもしれないが、最近は上司にしても先輩にしても後輩にしても近すぎず遠すぎない距離を意識するように心がけている。距離が遠すぎてもコミュニケーションの頻度が少なくなって問題だし、近すぎると批判的な姿勢を保つことが難しくなる傾向があるからだ。

もしかしたらこのようにコミュニケーションに制限を加えることで、後輩などから冷たい先輩として見られることはあるかもしれない。仕事の時とそれ以外の時でメリハリをつけ、飲み会では一時的に垣根が低くなることもある。それでも、僕としては研究に取り組んでいる時はちょっと余所余所しいくらいの距離感がちょうど良いと感じる。

仮に気の合う同期が研究室内にいれば、その人は例外となったかもしれない。幸か不幸か今の研究室に同期はいない。研究室外の友達といる時は一々距離感なんて気にしない。研究室外の同期と飲み会を開くと、それぞれがラボの愚痴を言い合って終わるなんてこともしばしばだ。

僕が気をかけて絶妙に保とうとしている研究室内での距離感を乱そうとするものにはできるだけ抗いたい。

しかし、時にどうしようも抗えないものもある。







THE 色恋沙汰

研究室内で出会って結婚するカップルは世の中に五万といるだろう。それは考えてみれば当然のことだし、自然なことでもある。だからそれが起こるのはしょうがないことだというのは十分承知している。

それでも、やっぱり、研究室内の色恋沙汰は









くっそ面倒だ!!



上手くいっているカップルはまだ良いかもしれない。研究室内でいちゃいちゃさえしなければ特に害はない。たまに培養室とかちょっと隔離されている部屋にカップルが二人きりで入ってたりすると、すごく入りづらい時があるので勘弁してほしいが、まあそんなに頻繁にあるというわけでもない。


朝研究室に来て、いつもより研究室の空気が殺伐としていたりすると、「あのカップルが喧嘩したんだな」と分かったりするが、第3者としてはそれでも特に害はない。





厄介なのは一方的な片思いだったり、三角関係が形成されている場合だ。
それにパワハラやアカハラが絡んでくると、
研究室はもはや

地獄絵図となる。



考えたくもない。




幸い僕自身がトラブルの原因となったことはこれまでには無かった(と自分では思っている)が、将来何が起こるかは分からない。
自分が当事者にならないように・・・というのは若干違う気がするので、
当事者になった時は周りに迷惑を掛けないようにしたい。

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あぴと

Author: あぴと
生命科学の研究者。ポスドク。東京という街が好きです。
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