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生命科学の研究者のブログ

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僕はお酒が飲めない

僕はお酒が飲めない。

いや、飲めないってほどでもないのだが、本当に少ししか飲めない。

例えば2時間の飲み放題だったら、生ビール2杯がキャパシティーだ。

疲れている時などは2杯飲んだだけでも激しい頭痛に苛まれる。


昨日飲み会があったのだが、1次会と2次会で5杯くらい飲んだ。
帰ってから案の定激しい頭痛に苦しめられた。
こうやって辛い思いをするたびに、
もう飲むのは止めよう、
2時間で1杯までにしよう、
とか思うのだけど、不思議と同じ過ちを繰り返してしまう。

お酒をキャパシティー以上飲むとすぐに頭が痛くなる体質なので、
特段お酒を飲んで気持ちよくなるという感覚は無い。
一度調子に乗ってズカズカ飲んで、
自分が饒舌になっているのを感じたことがあるが、
そう感じた10分後には頭痛の感覚が勝り、
20分後にはトイレの前でうずくまっていた。



あんな惨めな思いをするくらいなら、そもそも飲まなくて良いと思ってしまう。



それでも、どれだけ飲んでも潰れない人や、
飲んで楽しそうになっている人を見ると、
自分もお酒が飲める体質だったらなと思う。

酒好きの知り合いに連れられて、
美味しいお酒の味は段々と覚えていくが、
そのたびに限られた種類のお酒を
ちびちびとしか飲めない自分がなんだか損をしているように感じる。

と言う風に思うこともあるが、
まあお酒以外にも楽しめることはたくさんあるし、
自分はその分肝臓が健康に保たれていると思うようにしている。


ちなみに一応生命科学の研究者なので、生物学的な話もすると、
お酒のアルコールと言われているものはエタノールEtOHのことである。

エタノールはある一定の濃度以上になると神経の働きをマヒさせる効果がある。
つまり人間は楽しそうに飲むが一般的に生体にとっては毒なので、
生体はそれを無毒化する酵素を持っている。このことを代謝という。

エタノールの代謝は2段階ある

エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸
EtOH    → CH3CHO      → CH3COOH

高校化学でやったアルコールの酸化反応そのものだ。
それぞれの段階で別々の酵素が働いている。

エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸
    酸化酵素1      酸化酵素2

このうち、エタノールは前述のように神経をマヒさせる効果がある。
顔が赤くなったり、頭痛がしたりするのはアセトアルデヒドのせいである。
酢酸は無毒だ。無毒というと語弊があるが、たぶん毒を発する程の濃度にはならない。

酸化酵素1や酸化酵素2は人によってその活性が異なる。
その活性によってお酒が飲めるか飲めないかが決まる。
これは親のどちらかから受け継がれるものなので、
お酒が飲めるか飲めないかは基本的には遺伝で決まってしまう。


顔が赤くなって頭痛が始まる人は、
酸化酵素1の活性が高く、酸化酵素2の活性が低い人だ。

エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸
    酸化酵素1      酸化酵素2

すると体内に入ったエタノールはすぐさまアセトアルデヒドに転換される。
エタノールの濃度が高くならないので、全く気持ち良くならない。
酸化酵素2が弱いので、酢酸まで反応が進まずにアセトアルデヒドが蓄積する。
すると、トイレと友達になれる。いいとこなしである。
いや、肝臓を健康に保てるかもしれない。


お酒を飲むと楽しくなるけれど、そんなにたくさんは飲めない人は
たぶん酸化酵素1の活性が弱く、酸化酵素2の活性が高い人だ。

エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸
    酸化酵素1        酸化酵素2

すると酸化酵素1が弱いので、エタノールの濃度が高くなり、
神経麻痺作用で脳のある部分が麻痺して気持ちよくなる。
エタノールがアセトアルデヒドに酸化されても、
すぐに酢酸まで酸化されるので、頭が痛くなったりはしにくい。


いくら飲んでも潰れない人は、どちらの酵素の活性も高い人だ。



余談だが、お酒を飲んで、
酔ってる間の記憶を無くすというのは興味深い現象だと思う。

記憶を無くす人でも、例えば後から聞いて「あの時の記憶無いんだよ」
という時でも周りから見たら受け応えがしっかりしていたり、
その後ちゃんと家に帰れてたりする。

脳で記憶を司るのは海馬という領域だ。
海馬を手術で切除した人や、戦争中に海馬に損傷を受けた人がいたが、
そういう人は会話は正常にできるが、それらを記憶することが困難になる。

お酒を飲んで記憶を無くしている状態も、
海馬が麻痺していると考えられる。

ただし、他の脳の機能は割と正常なのに、
なぜ海馬はバッタリと機能停止するのかはとても興味深い。

この原理がわかれば、記憶や学習を妨げる薬ができるかもしれない。

そんなもん作ってどうするんだという話にはなるが。

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コメント

はじめまして。私も面接を経て採用内定を頂いた者です。
毎日更新がないかチェックしています。
科研費の応募書類についての記事も是非書いて頂ければありがたいです!

コメントありがとうございます。
特別研究員の科研費に関しては、
誰かが真面目に読んで支給額を上下させているとは思えなかったので、
ほとんど申請書のコピぺで出してしまいました。
内訳も実験消耗品とか論文投稿料とか適当に満額申請しましたよ。

そうでしたか。
どの程度申請に拘束されるのか等を考え出し、安易に書けないな、と悩んでいたところです。
ありがとうございました。

ご多忙とは存じますが、
記事の更新楽しみにしております。

すべて計画通りに行くわけじゃないし、そこは融通が利くんじゃないかと完全に楽観視してましたけど、確かにそういう懸念もありますね。

コメントありがとうございました。レスポンスがあるとモチベーションになります。

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Author: あぴと
生命科学の研究者。ポスドク。東京という街が好きです。
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生命科学、基礎医学、進化生物学、英語、読書、美術、音楽

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