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「笹まくら」 丸谷才一 ★★★★★

笹まくら (新潮文庫)笹まくら (新潮文庫)
(1974/08/01)
丸谷 才一

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社会に背き、別の男の名を名乗り、常に周りの目に怯えながら生きる。浜田庄吉は戦時中に徴兵忌避者として全国を放浪して生活したという過去がある。家族やら名誉やらを全部捨て、発覚すれば非国民として罰を受ける徴兵忌避をこの男は運よくやってのける。しかし、戦争が終わっても徴兵忌避は終わらなかった。仕事をしていても、家にいてもふとした瞬間に徴兵忌避のことが意識をよぎる。たとえ自分にとっての正義であったとしても、社会に背いたという事実が宿命として彼の前に立ちはだかる。

物語は3人称で書かれているが、現在の話から突然浜田庄吉の回想として徴兵忌避の時の話が混じる手法が印象的だった。また、これは徴兵忌避者の戦後の宿命を書く物語であると同時に、社会においてそれに接する人々を書いた物語でもある。戦時中において徴兵忌避者を非国民として扱う社会と、平和憲法と自由主義が成立した現代においてそれに接する社会とが対比して書かれている。隅々まで緻密に練り上げられた大作だと思う。


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Author: あぴと
生命科学の研究者。ポスドク。東京という街が好きです。
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生命科学、基礎医学、進化生物学、英語、読書、美術、音楽

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