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[気になるニュース] 森口氏、再び [iPS捏造騒動]

あまり報道で取り上げられていないようなので、記事にしてみる。

6月14日付けで科学誌NatureのWebサイトで書かれた記事がある。

Self-confessed liar publishes more dubious stem-cell work


"He’s back." (彼が戻ってきた)で始まるこの記事、何を隠そうiPS細胞に関する虚偽の発表で昨年話題になった森口氏についての記事である。騒動が一段落した後、一時期芸人になるという噂もあったが、結局テレビ局からも締め出され、その後の消息が不明だった彼である。

この記事によると、森口氏による論文がここ2ヵ月で3本、BMJ Case Reportsという査読ありの雑誌に掲載された。

しかしながら、3本の論文のすべてが昨年の騒動で取り下げられた論文の蒸し返しであった。3本とも森口氏がCorresponding author(責任著者)になっていて、他にJoren Madsonという著者の名前があった。Joren Madsonはボストンにある"Reprogramming inc."という会社の所属と論文には書かれている。しかしながら、Natureが確認したところそのような会社は見つけられず、当然のごとくJoren Madsonという人物の存在も確認できなかったという。森口氏の所属は千葉にあるReprogramming inc.になっているが、その存在も確認できなかった。

Natureが森口氏に事実確認のEメールを送ったところ、次のようなメールが返ってきたという。
"Thank you very much for your interest. This week including today is difficult as I am in hospital. In another days (next weeks, etc), I appreciate if I can discuss about the issue via e-mail. I look forward to hearing from you via e-mail."


Natureの記事の内容は以上だ。

この記事は一種のスクープのような形で書かれていて、Natureが独自に検証した内容のようだ。表面上はあくまで紳士的な記述に留まっているが、最後に文法が滅茶苦茶で稚拙な言い回しの彼のメールの原文を載せる痛烈な皮肉で終わらせている。

たぶんまともな科学者で彼の言うことを信用する人はすでに皆無だろうから、大方の反応としては「やれやれ、またやってんのかよ」といった感じだと思う。

問題はこのような明らかに出所が真っ黒の論文が査読ありの国際誌に載ってしまったことだろう。Natureの問い合わせによって雑誌側も森口氏の3本の論文について調査中とのことなので、じきに昨年と同じように取り下げられるだろう。BMJ Case Reportsという雑誌は、僕の大学内からでもAbstractしか読めないので、どのようなクオリティーのFigureが論文に載っているのか判断がつかないが、出版の前に気づくことはできなかったのだろうか。

森口氏については、もはや逆に気の毒に思うこともあるが、研究者の一人としてはこのような捏造論文がこうも簡単にpublishされてしまうことを危惧している。査読や出版の過程は性善説に基づいているので、気づいた読者が告発していくしかないのだろうか。

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Author: あぴと
生命科学の研究者。ポスドク。東京という街が好きです。
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