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研究室を選ぶ5つのポイント(学部生向け)

学部生が配属先の研究室を選ぶ時のポイントを、僕の経験に基づいて書いてみようと思う。なお、僕は生物系の研究室に所属している。他の分野には当てはまらない事柄もあるかと思うので、そのつもりで読んでいただきたい。



1.自分が研究室に入って何がしたいのかをはっきりさせることが最も大事
これはどんな研究がしたいかという話とは別である。研究室に配属された先に何を望んでいるのかということだ。研究者になるための訓練なのか、大学院から別の所へ移るためのつなぎ期間なのか、民間企業の研究職に就くためなのか、文系就職するためなのか、とりあえず学位が欲しいだけなのか。これらの目的に即して理想の研究室は変わる。まず研究室に入って何がしたいのかはっきりさせよう。



2.教授が自分にとって魅力的か
研究室のトップに立つ人物は言うまでも無く教授だ。教授は研究室の最終責任者であり、運営者である。すべてのスタッフと学生は基本的には教授の意図するように活動する。研究室に配属されたら、学生は多くの時間を研究室で過ごす。生活の多くの部分を研究に費やすことになる。あなたはそんな多くの時間と労力を費やして、嫌いな教授のために尽くしたいと思うだろうか?何年かの時間をかけて仕える人物が、少なくとも仕えるに値する魅力的な人物であるということは、とても大事なことである。

難しいのは、教授の人柄と研究業績には全く相関が無いし、講義の上手さとも相関しない。講義というのは長時間の講演を余儀なくされるので、どうしても演者の素が出る物であり、教授の人柄を知るのにはいい機会だ。しかし、講義が上手いからといって、研究室でその教授が魅力的かというと、必ずしもそうではない。僕は、講義が評判で業績も素晴らしいが、研究室の内部では理不尽で傲慢な人物に豹変するという先生を知っている。表の顔と裏の顔を使い分けているパターンだ。逆に、講義の評判が最低でも、研究室では温和で論理的で尊敬できる先生も知っている。単純に講義が嫌いでやる気が無い(研究にしか興味が無い)パターンだ。講義は良い指標にはなるが、それだけで研究室での教授を評価するのは間違いだ。実際に研究室に足を運んで教授の話を聞いたり、ラボの学生に普段の教授の姿を聞いてみよう。



3.研究室の学生は多いか少ないか
人気ラーメン店には行列ができる。行列ができているという事実はその店の味のある程度の担保になる。同様に、研究室における学生の数も、その研究室の質のある程度の担保になる。このことを盾に、「学生が多い研究室はブラックじゃないから安心して行け」という声をたまに耳にする。これは、ものすごく安易な考えだ。僕は行列ができるラーメン屋に入ってみて、行列ができる主な理由が席数の少なさと回転の悪さだったことにがっかりしたことがある。また、行列に並んでみたら、僕があまり好きではない二郎系のラーメン屋でがっかりしたこともある。研究室の学生が多くなる理由も様々なものがあるのだ。

研究室の学生が多くなる様々な原因
・教授が超有名
・研究室の業績が一流
・研究内容が流行中
・教授の講義が上手い
・研究室のルールやイベントが魅力的
・就職に有利
・昔から学生数が多い(学生の多さに安心して入る学生が多いから永遠に減らない)

他にも色々あると思う。そして、これらの理由のいくつかは研究とは無関係だったり、表面的な理由だったりする。学生が多い理由は何なのかということをしっかり見極める必要がある。業績が超一流で学生の数も多いが、実は学生の多くが「ここに来れば有名誌に論文を書ける」と安易な考えで入った人で、研究室の雰囲気が最悪だという例を聞いたことがある。

また、学生の数が多いデメリットも当然存在する。いくら大きな研究室でも、良いテーマが無限にあるわけではなく、学生間でテーマを巡って競争が生じる。もしかしたら、競争に負けてどうでもいいテーマをやらされることになるかもしれない。

研究室の学生が少ないからといって切り捨てるのも同様に安直な行為だと思う。もしかしたら講義での評判が悪いだけで研究では問題無いかもしれない。もしかしたら数年前によからぬ噂が広まってそれ以来入る学生が少なかっただけかもしれない。学生が少ないと、当然重要なテーマを任される可能性も高くなる。表面的な事実に惑わされずに、学生の数が多い理由・少ない理由を見極めよう。



4.教育方針はどうなっているか
学部や大学院の間はあくまで研究者としての訓練期間であり、学生は教育を受ける立場にある。したがって、どのように学生を教育しているかということは重要な事柄だ。具体的な教育方針としては以下のような例があると思う。

A.学部から一人一テーマを与え、そのテーマについて主体的に実験させる
B.学部時代は実験手技習得期間としてスタッフ・院生の下に就き、しかるべき時期が来たら専用のテーマを与える
C.チーム制を敷き、一つのテーマに何人かのスタッフ・学生を割り当てて、テーマをなるだけ早く進行させる

Aは教育としては理想的だと思う。学部生にテーマを与えるのは荷が重いという意見があるだろうが、結局研究者としては主体的に考えて実験を進める能力が要求されるので、早くからそのプロセスに触れることは悪いことでは無いと思う。BもAに近いが、習得期間に任される実験というのは、大抵失敗しても構わないどうでもいい実験なので、モチベーションを保つのに苦労する人もいるかもしれない。また、とにかく論文を書きたいという人も、Aと比べたら歯がゆい思いをするかもしれない。Cは、教育よりも研究室の業績を優先した結果なので、教育的には最悪だと思う。ひどい場合は博士になっても先輩やスタッフの論文のための実験をやらされるかもしれない。論文の共著者にはなれるが筆頭著者にはなれない。研究能力が評価されるのは、その人が筆頭著者である論文だ。どんなに業績のある研究室でも、研究者を目指している人にはCの方針を採用している所はお勧めできない。



5.研究資金は潤沢か
研究にはお金がかかる。お金が無いと実験もできない。実験ができないと論文も書けない。論文を書かないと研究しているとは言えない。ではどうやって研究室の研究資金を調べたらいいか。教授や学生に聞いてみるというのも一つの手である。しかし、教授や学生はあまりネガティブなことは言わない。本当は貧乏なんだけど、上手く隠そうとするかもしれない。そんな場合のために、研究室の予算状況を知る手がかりを挙げてみる(生物系研究室限定)

・実験機器は充実しているか(機器の年代・値段を調べてみると良い)
・ピペットは使い捨てか、洗って使い回しか。洗う場合は誰が洗っているか(技術員か学生か)。学生が洗う場合はどの程度の頻度で洗っているか
・チップを自分で詰めているか
・実験動物(マウス・ショウジョウバエ等)の世話・管理は誰がしているか。学生が行っている場合は、どの程度の頻度で行っているか
・メディウムやPBSはどうやって手に入れているか(完成品購入>配合済みの粉で自作>自分で粉を配合して自作)
・パソコンは支給されるか、自持ちか
・論文をカラー印刷しているか

お金が無いからとピペットを洗ったり、チップを自分で詰めたりすると、それに時間を取られてしまう。マウスの管理なんかはお金と時間がものすごくかかる。ケージ交換や洗浄を専門にやってくれる技術員がいるだけで学生の負担は随分減るものだ。たまにチップを洗って使い回している研究室もあるらしいが、そこまでいくと無条件で避けた方が良いように思う。

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