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イルカ漁・捕鯨は悪なのか?

先日、ケネディ駐日米大使が太地町で行われているイルカ追い込み漁の非人道性について懸念を表明した。

太地町のイルカ追い込み漁に非難の声、ケネディ大使も懸念表明-CNN


そのニュースに対する国内外の反応

国内:ケネディ大使:「イルカ追い込み漁の非人道性を深く懸念」- watch@2チャンネル

海外:
イルカ追い込み漁にケネディ駐日大使も批判ツイート。「日本人は残酷」←「手のひら返し乙」 - 劇訳表示

海外「他国に干渉するな」 ケネディ大使のイルカ漁反対表明にコメント殺到 - パンドラの憂欝

悲報!また、イルカの殺戮が日本で始まるぞ!!CNNが報じるイルカ漁。- ジパング 世界の反応

ついでに日本が行っている捕鯨についての海外の反応
シェパード「日本の捕鯨船団がクジラを殺した事を確認っ(キリッ」 海外「恥を知れ!」「文化だろ!」 - 劇訳表示



太地町のイルカ漁に関して、僕個人としては、合法的な漁を持続可能な形で行っているのだから第3者がとやかく言うことではないと考える。一方で、日本の小さな町の出来事がこれだけ世界的に取り上げられて、それを見た人々から批判の声が上がっているということも事実であり、なぜそのような批判が起こるのかということについて考えてみなくてはいけないとも思う。

太地町のイルカ漁がこんなにも有名になったきっかけは、言うまでもなく映画「The Cove」がアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したからだ。知能が高く、水族館ではかわいらしい姿を見せるイルカが入り江に追い込まれた挙句殺され、海が文字通り血の海となる映像に多くの人が衝撃を受けたのだろう。映画では漁師が槍のようなもので追い込んだイルカを繰り返し刺し、イルカがもがく映像が流れる。その映像は誰が見ても気持ちの良いものではない。

しかしながら、映画で流れた海が血で染まるような漁の方法は現在は行われておらず、より苦痛が軽減されるような絶命の方法を取っているらしい(イルカ追い込み漁-wiki)。ケネディ大使が言う「非人道性」というのはおそらく動物が苦痛を感じるような漁の方法を指して言っていると思われるのだが、それに関しては国際社会の批判もあってか近年改善されているように見える。

上に貼った海外の反応で、僕が理解に苦しむのは次のような批判だ。

イルカは、牛、豚、鳥とは違って、飼育されてないんだよ。野生の動物なんだ。 
野生の動物を、人間が食べるために捕獲するのには俺も反対だ。


・ねぇ、、豚がどのように殺されてるか知ってる?
 牛は??

_彼らは食べられる為に生まれたんだ。。。
 自然のイルカは違う。


牛や豚は人が食べるために飼育されているので殺してもよく、野生のイルカやクジラはそうではないから殺してはいけない。これはいったいどういうことだろう。牛や豚などの家畜にしたって、自分が後々食べらるために殺されることを承知して受け入れているというわけではない。彼らも当然のことながら他の生物と同様に苦痛を感じることができるし、殺されるのが本望のはずがない。

同様の発言は、この手のまとめで必ずと言っていいほど目にするし、反捕鯨のyoutube動画で言われているのも聞いたことがある。これは、牛や豚などの家畜は神から食糧として与えられたものなので、殺して食べても構わないという、キリスト教の宗教観に由来するらしいという分析も目にする。しかし、理性的に考えた時に、イルカやクジラは特別で牛や豚とは違うというのは多くの人にとって納得できる理由ではないだろう。特にそれが、イルカ漁や捕鯨で生計を立ててきた人にとってはなおさらだ。欧米人の宗教観を押し付けられる筋合いは彼らにはない。

「イルカやクジラは知能が高いから殺して食べるべきじゃない」というのも良く見るが、これもおかしな論理だと思う。水族館のショーで高度な芸を見せる姿に親近感を覚えてのことだろうが、知能が高いと苦痛や恐怖が大きいのだろうか?そんなことはないと思う。死への恐怖、傷に対する痛み、これらは生物が生存するために進化のかなり早い段階で獲得された形質だと考えられる。生物は恐怖や苦痛を避けるように行動して、生存率を高めてきた。だから恐怖や苦痛はどんなに知能が低い生物でも感じることのできる感情なのではないかと考えられる。恐怖や苦痛を正確に定量する術が無いので、それを証明することはできないが、我々高等な生物の恐怖・苦悩は偉大で、下等な生物のそれらは大したこと無いから殺しても構わないというのは、到底納得できない。

こうしてイルカ漁や捕鯨の現状を見直してみると、特に国際社会の批判を浴びるような点は無いように思える。捕鯨にしたってIWCに決められた捕獲量の上限を守って行われているわけだし、絶滅危惧種を捕獲しているという批判も当たらない。The Cove以来、「日本人によってかわいらしいイルカやクジラが虐殺されている」と報道すれば、視聴者の感情に訴えかけられる良いニュースとなるので、今回の件のように大きく海外メディアに取り上げられてしまうという不運がある。イルカ漁や捕鯨を続けるのであれば、苦痛の軽減に努めている点・持続可能な捕獲量を守っている点を粘り強く説明していくしかないだろう。

ケネディ大使には是非「非人道性」が具体的にどのようなことを指すのか説明してほしい。

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