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仮面浪人をした話

高校卒業から1年間、とある大学で所謂仮面浪人をしていた。

現役の時に受験した第一志望には見事に落ちた。運よく滑り止まった大学に行こうか迷ったのだが、周りに相談するとどの人も第一志望はあきらめて受かったところに行けという。全然気が乗らなかったが、仕方が無くとりあえず大学生になることにした。

晴れて桜咲くキャンパスに新入生として足を踏み入れた。しかし、僕の気分にはどんよりと分厚い雲が立ち込めていた。思い返せば僕はこの大学を卒業する気は無く、最初から仮面浪人をするつもりだったのだろう。その大学に入りたいサークルがあったのだが、入らなかった。

勉強する時間を確保するためだ。

根っからの負けず嫌いだ。高3の時は第一志望に合格したい一心で勉強した。毎日寝る間を惜しんで勉強した。それなのに、ダメだった。その事実は僕の心の中の壁に突き刺さり、取り除くことができなかった。自分があんなに望んで手に入れたいと全身全霊をかけて取り組んできたことに、失敗した。このまま終わっていいのか、失敗してそのまま引き下がっていいのかという自分への問いかけは一向に止まなかった。

こうして仮面浪人の一年が始まる。

同級生がサークルに入ったりクラスの友達とつるんで遊んだりして、各々の大学生活を楽しみ始めていた時、僕は講義が終わったら自宅に直行して勉強し、空きコマは図書館で勉強した。通学の電車の中でもせっせと英単語を覚えた。仮面浪人に失敗した時に留年するのは嫌だったので、講義は真面目に出席して真面目に聞いた。履修した講義の単位はひとつも落とさなかった。

この時僕は正真正銘のぼっちだった。

自慢ではないが、友達と呼べる人は一人もできなかった。一緒に遊ぶ友達も一緒に御飯を食べる友達も、どんな友達もできなかった。別に友達を作りたくないわけじゃなかったが、近くに気が合う人がいなかったんだと思う。講義はいつも前の方で一人で座り、昼飯は食堂の端っこの方でいつもおひとり様をやっていた。おひとり様の良い点は、混んでる時でも必ず席を見つけられること。3人とか5人の奇数グループの一人空いた席に平然と座り、後はウイーーンと自分の周りに見えないついたてを作ってひたすら空腹を満たせば良い。

回りからどう見られるか、どう思われるかを気にしない特技を身に付けたのはこの時かもしれない。

当然寂しかったと思う。エナメルのスポーツバッグを提げて講義室の一番後ろに陣取る学生、講義である日並んで座りだして付き合い始めたことがあからさまなカップル、帰り際にサークル棟から聞こえてくる管楽器の音。そういう景色を横目に唇を噛みながら日々を過ごしていた。しかし、そんな羨ましい光景を前にしても頑なに意思を変えないほど、自分にとって第一志望不合格の雪辱は大きかった。

その大学でやってきた冬が終わろうという時に無事仮面浪人を終了できると知った時は、本当に救われた。ずっと心の中に突き刺さっていたとげをようやく抜くことができ、仮面浪人先で耐えたすべてのことが報われた瞬間だった。同時に、失敗しても諦めなければチャンスがあるんだ、しっかりと仕事を積み重ねれば達成できるんだということを身をもって実感した瞬間だった。

【関連投稿】
仮面浪人をした話 その2
仮面浪人をした話 その3


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